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井の頭公園前ヒフ科の公式ブログ

デュピルマブ(商品名:デュピクセント)の取り扱いを開始しました。

2022.07.27

<デュピクセントについて>

デュピクセントは重症のアトピー性皮膚炎の治療薬で、アトピー性皮膚炎の炎症に関わるIL-4、I L-13という物質(サイトカイン)を直接抑制する注射薬です。

非常に効果が高い上に大きな副作用が少ないことが特徴的であり、アトピー性皮膚炎の方にとって福音のような薬剤と思われます。15歳以上の、標準的治療(保湿剤やステロイド外用剤など)を半年以上行っても改善が得られない、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の方に適応があります。

自己注射する薬剤ですが、皮膚に押しつけるだけで注射できるペン型のデバイスになっているため、慣れてない人でも簡便に投与できるように工夫されています。当院では初回は看護師と一緒に院内で投与し、2回目以降はご自宅にて自己注射してもらいます。どうしても自分で打つことが難しい場合は医師にご相談ください。

院内に製剤や注射、負担額などについての動画も準備しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお声かけください。製薬会社の作成したリーフレットも是非ご参考にしてください。 デュピクセントを使用される患者さんへ(ここをクリックすると該当ページに移動します)

 

 

<デュピクセントの価格について>

難点としては高額な薬剤費です。2022年8月から少し値下がりしますが、それでも注射1本58775円(3割負担の場合17632.5円)もします。初回は2本、以降2週間おきに1本ずつ注射していく薬剤ですので、だいたい最初の1月で52897.5円、以降は毎月35265円ほどかかる計算になります(診察費などは別途かかります)。なお所得などによりますが、1回の診療でまとめて処方し高額医療費制度を用いることにより、自己負担額の引き下げができる場合があります。

(モデルケース:69歳以下、年収約370~約770万円)

デュピクセントは1回で最大3か月分(6本)の処方が可能で、その場合3割負担の方は自己負担105795円(診察費などは別途)となります。モデルケース(69歳以下、年収約370~約770万円)の場合、高額医療費制度を用いることにより自己負担が約80100円まで軽減されます。また、4回目以降(12か月以降)は多数回該当のため44,400円まで軽減されます。ここまでくると、単純計算でひと月14800円(44400÷3)の計算になります。

また、国の定める高額療養費制度以外にご加入の健康保険組合によっては「付加給付」として、自己負担上限額がさらに低く設定されている場合があります。詳しくはご加入の健康保険組合等にご確認ください。

製薬会社のホームページにて高額療養費のシミュレーションもできます。

デュピクセントの薬剤費と医療費助成制度について(ここをクリックするとサノフィさんのHPへ移動します)

 

<当院での導入までの流れ>

初回導入の方

初回の診察は月曜から金曜の9時~11時、ないし火曜・水曜・金曜の15時30分~17時30分の間にお越しください。受診当日は紹介状、お薬手帳や現在使用中の治療薬の分かるものを必ずお持ち下さい。

  • 初回診察では、問診と診察後、作用機序・効果・副作用等・自己注射の方法のご説明、採血検査を致します。
  • 2回目の来院時に採血データを確認し、注射可能かどうかの最終判断をします。実施手技をダミーの注射器を用いて指導致します。
  • 3回目の来院時、デュピクセントの処方を行います。1回目は院内で、看護師と一緒に注射します。2回目以降はご自宅にて注射してもらい、約1~3か月ごとに定期的に診察・検査・処方となります。

他院にて導入済みの方

受診時紹介元からの紹介状(診療情報提供書)を必ずお持ち下さい。紹介状には「施設要件」「前治療要件」「疾患活動性の数値(IGAスコア・全身又は頭頚部のEASIスコア・体表面積に占める病変割合)」の記載が必須となります。いずれかの項目でも記載漏れがあるとデュピクセントの投与・処方は出来かねますので、ご注意ください。自己注射の方は当日に処方箋の発行が可能です。事情があり自分で打てない場合は、事前に一度受診し医師とご相談ください。

 

2022/7/27 井の頭公園前ヒフ科 院長 石田正

白癬(いわゆる水虫)について

2022.07.06

白癬とは?

水虫はカビの一種である白癬菌(はくせんきん)に感染することで生じます。白癬菌は多湿の環境を好むため夏場に発症することが多いですが、他の季節で生じることもあります。

 

白癬の症状

ほとんどが足に生じますが、股やおしり、顔手、頭皮など他の部位にも感染することがあります。通常は感染部位に水疱や皮むけ、痒みなどが生じます(稀に皮無症状のこともあります)。特殊なケースとして、足以外の皮膚に感染した場合、環状紅斑という輪っかのような形をした発疹が出たり、頭に感染した場合、毛が抜けて脱毛斑を生じたりすることがあります。爪に感染した場合、爪が白く濁ったり、厚く脆くなったりします。

 

白癬の検査

真菌鏡検という検査を行います。自己判断で検査前に市販の薬をぬっていたりするとうまく結果が出ないことがあるため、検査を行う前は少なくとも1週間は何も外用しないでください。

 

白癬の治療

塗り薬(抗真菌薬)を用いて治療します。特殊な場合として、爪や頭皮に病変がある場合は飲み薬を使用する場合があります。

 

2022/7/6 井の頭公園前ヒフ科 石田正

第121回日本皮膚科学会総会に出席しました

2022.06.06

2022年6月2日から5日までお休みを頂き、京都で開催された第121回日本皮膚科学会総会に出席して参りました。

ここ数年は新型コロナウイルス流行のためオンライン参加でしたので、実際に学会会場へ足を運んだのは本当に久しぶりでした。そもそも学会にかかわらず関東から出ること自体が数年ぶりでしたので、現地に着いたときはなんだか現実離れした、不思議な感覚を味わいました。

今年は主に脱毛症、美容、老化/若返り、発汗学、診断学、医療安全等の講演を聴いてきました。学会会場ではオンラインでは味わえない特有の熱気のようなものが感じられ、ああ、勇気を出して参加してよかったなと思いました。特に記憶に残ったのは老化と若返りに関する講演で、皮膚科の範疇にとどまらず、内科や整形外科、遺伝学の話まで含めたワクワクするような内容でした。

講演がない時間に寺社巡りもしたかったのですが、なんとなく気が引けたため、会場近くのお店で和菓子を購入し鴨川のほとりで頂きました。天気も良く、古都に思いをはせながら最高のひと時を味わえました。お菓子もとても美味しく、特にいも餡のみぞれ餅は記憶に残る味でした。もう一度食べたいと思い最終日の学会帰りにお店を再訪しましたが、完売のため別のお菓子を買って新幹線で食べながら帰ることになりました。残念でしたが、また京都を訪れる楽しみが一つ増えたのかな、と思います。

アップデートされた知識をもとに、また本日から通常診療に励んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年6月6日 井の頭公園前ヒフ科 院長 石田正

水痘・帯状疱疹ワクチンについて

2022.05.27

井の頭公園前ヒフ科では、帯状疱疹の予防目的に50歳以上の方にワクチンの接種を行っております。帯状疱疹はだいたい10人に3人が発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。ワクチンを接種することで、帯状疱疹の発症や重症化する確率を下げることができます。

帯状疱疹について

ほとんどの方は子供のころに水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に感染します。初めて感染した際は水痘(水ぼうそう)になることが知られていますが、感染しても無症状のこともあります。VZVはいったん感染すると体からいなくならず、ずっと神経に潜んでいます。これを潜伏感染といいます。

潜伏感染しているVZVは様々なきっかけで再び増殖し(再活性化)、帯状疱疹という病気をおこすことがあります。帯状疱疹は、VZVが体の片側の神経に沿って再活性するため、通常からだの片側のみに帯状に水疱(水ぶくれ)が多発し、神経痛をおこします。ほとんどの方は問題なく治癒しますが、一部の方は神経痛が残ってしまったり(帯状疱疹後神経痛といいます)、視力低下や顔面神経麻痺などといった後遺症を残すことがあります。帯状疱疹は早期治療が重要な病気であり、もしやと思ったらすぐに医療機関を受診する必要があります。

ワクチンの種類と効果

帯状疱疹に対するワクチンとして、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。

生ワクチンは1回接種で、帯状疱疹の発症率を約半分にできます。もし帯状疱疹になってしまった場合でも、ワクチンをうっていた場合、より軽くすむといわれています。

不活化ワクチンの方が効果は高いですが、生ワクチンよりも高額で2回接種が必要となります。ワクチンを打った後の倦怠感や局所の腫れ等が、生ワクチンと比較して強いといわれています。

ワクチンの費用

当院では生ワクチンのみのお取り扱いとなります(保険外診療:1回7700円、税込)。予約なしでも打てますが、在庫がない場合もありますので、確実に接種したい方へはワクチンのお取り置きをお電話にて承っております。

ワクチンでなく、実際に帯状疱疹にかかっている方への治療は保険診療で行います。

よろしくお願いいたします。

円形脱毛症の症状・原因・治療について

2022.05.11

井の頭公園前ヒフ科では積極的に円形脱毛症の治療に取り組んでおります。

 

円形脱毛症の症状:

典型的な症状としては、病名の通り頭皮に丸い脱毛斑が生じます。脱毛斑は一つのこともあれば、多発することもあります。重症の場合は眉毛や睫毛を含むすべての毛が抜けてしまうこともあります。

 

円形脱毛症の原因:

自己免疫(ふだん細菌やウイルスなどの外敵から身を守るリンパ球という細胞が機能異常を起こし、自己由来の細胞を攻撃してしまうこと)によって自分の毛が障害される病気と考えられています。なぜ自己免疫が起こってしまうのかは完全にはわかっていませんが、本人の体質(遺伝的な素因)といった内的な素因が基礎にあり、ウイルス感染などの外的な刺激も時に加わって生じると考えられています。

 

円形脱毛症の治療:

軽症の場合、何もせずとも自然治癒することもありますが、悪い状態が続くとミニチュア化といって元に戻りにくくなることがありますので、早めに受診し治療を受けていただくことをおすすめします。主な治療の種類には以下のようなものがあります。どの治療法を受けていただくかは、病気の状態や範囲、期待される効果や副作用などを総合的に考慮し、患者さんと話し合って決定します。

 

  • ステロイド外用療法…副腎皮質ステロイドの外用剤を病変部に塗布します。病変が広範囲にわたる場合、外用後にフィルム剤などで覆う密封療法を行うこともあります。外用なのでステロイドの全身的な強い副作用はほとんど起こりませんが、時折外用部にざ瘡(ニキビ)などが生じることもあります(外用をやめれば元に戻ります)。
  • ステロイド局所注射…一か月に1回程度、頭皮に副腎皮質ステロイドの注射を行います。注射に伴う痛みはありますが、比較的高い治療効果が期待できます。
  • 紫外線療法…週に1~2回ほど、紫外線の治療効果のある一部の波長を照射する治療です。当院ではナローバンドUVBとエキシマライトの2種類の取り扱いがあります。
  • 凍結療法…週に1回ほど、液体窒素を患部にあてて刺激を加える治療です。簡便に行えますが、円形脱毛症に対して保険適応はありません。
  • 局所免疫療法…頭皮にかぶれを起こすSADBE(squaric acid dibutylester)という物質をぬることによりわざとかぶれ反応を引き起こし、それによって引き起こされる免疫の変調により自己免疫反応が抑制されることを期待する治療法です。保険適応はありませんが、日本の円形脱毛症の治療ガイドラインにも載っている立派な治療法です。かぶれをはじめとしたアレルギーのリスクはありますが、比較的高い治療効果が期待でき、さらにステロイドの局所注射に伴う痛みやステロイド内服による全身的な副作用がないといったメリットもあります。特に難治性の小児の患者さんなどでは成長障害の懸念からステロイド内服が選択しにくいため、相対的に免疫療法がいい適応になる場合があります。局所免疫療法を行う場合、通常2週間に1回程度通院していただき、副反応に気を付けながら医師が薬を外用します。治療費などの詳細は当院自費診療ページをご参照ください。
  • ステロイド内服療法…副腎皮質ステロイドの内服を行います。円形脱毛症に対し高い効果が期待できる一方、ステロイド内服に伴う副作用(免疫抑制や消化管穿孔、骨粗しょう症、糖尿病や肥満など)のリスクがあります。また、内服を減らしたりやめたりすると脱毛が再燃してしまうことも多く、この治療の導入に当たっては医師とよく相談の上、決定していく必要があります。
  • その他の新規治療…現時点では円形脱毛症に対しては使用できませんが、同じ自己免疫疾患であるリウマチ領域で使用されているJAK阻害剤などが、今後保険適応になる可能性があります。

 

2022/5/11 井の頭公園前ヒフ科

乾癬(かんせん)の診断・治療について

2022.04.27

乾癬という病気は大きく4つに分かれます(尋常性乾癬・滴状乾癬・関節症性乾癬・膿胞性乾癬)。最も多くみられるのは尋常性乾癬というタイプで、典型的な発疹として銀白色の厚い鱗屑(フケ)を伴う紅斑が、慢性的に体の様々な部位に生じます。

意外と知られておりませんが、乾癬は皮膚のみではなく全身性の炎症性疾患としての側面もあり、慢性的な全身炎症の結果としてメタボリック症候群を合併しやすいと考えられています。重症の場合は心筋梗塞のリスクが高まるといった報告もあります。皮膚のみではなく、食生活や運動、禁煙などのメタボリック症候群への対策も重要です。

尋常性乾癬の治療としては外用療法を基本としますが、難治の場合や広範囲に発疹がある場合などは追加療法を行うことがあります。下記にその種類・メリット・デメリットをあげます。

  • 外用療法…ステロイド軟膏やビタミンD軟膏などを皮疹部に外用してもらいます。効果は全身療法に比べると劣りますが、安全性が高く通常は外用療法のみで治療を行います。ステロイド外用剤は長期間大量に外用した場合は全身的な副作用がでる可能性もありますが、定期的に通院し、医師の指示通りに用法を守って使用すればほとんど起こることはありません。局所的な副作用として皮膚菲薄化、毛細血管拡張、ざ瘡などがありますが、基本的には外用を中止することで徐々に元に戻ります。
  • 光線療法…当院ではナローバンドUVB、エキシマライトを行っています。どちらも紫外線の治療効果のある一部の波長を、週に1~2回ほど患部に照射する治療です。通院の手間はかかりますが、下記にあげるような全身的な副作用がない点で導入しやすい治療法です。
  • 経口レチノイド(エトレチナート)…エトレチナートという内服薬による治療です。ビタミンAの誘導体であるエトレチナートは皮膚の増殖を抑える作用があり、皮疹を改善させます。副作用として皮膚菲薄化や口唇炎や毛髪異常、脂質代謝異常などがあります。胎児に影響を及ぼす危険性がある薬であり、内服中はもちろん、内服終了後も男性で6か月間、女性で2年間の避妊が必要です。
  • 経口PDE4阻害剤(アプレミラスト)…アプレミラストという内服薬による治療です。PDE4を阻害して細胞内のcAMP濃度を上昇させ、炎症性サイトカインの産生を抑制することで乾癬の皮膚および関節症状を改善すると考えられています。海外臨床試験では投与16週のPASI-75(皮膚症状75%改善)達成率は33.1%と生物学的製剤より効果は劣りますが、重篤な合併症の可能性が低く、ご高齢の方へも投与しやすいといった特徴があります。投与初期に下痢や嘔気、頭痛がみられることがあります。安全性と有効性のバランスのとれた薬剤です。
  • 免疫抑制薬(シクロスポリン)…シクロスポリンという内服薬による治療です。主にリンパ球に作用し、強力な免疫抑制作用を示します。効果はアプレミラストと生物学的製剤の中間位と思われます。副作用として免疫力低下・多毛・腎障害・血圧変化・消化器症状等があり、内服する場合は定期的な採血によるモニタリングを行う必要があります。ほかにメトトレキサートという免疫抑制薬も乾癬に適応がありますが、副作用のリスクから当院では基本的に処方しておりません。
  • JAK阻害剤、生物学的製剤…乾癬の病態に関連する酵素やサイトカインをピンポイントで阻害する治療法です。効果が高く、既存の治療が無効な場合や強い関節症状、膿胞性乾癬の症例などに適応があります。薬剤によって差はありますが、投与時のアレルギー反応や免疫抑制などのリスクがあります。当院では本剤による治療は行っておりませんが、適応があり治療をご希望される方は基幹病院をご紹介させていただきます。

 

2022/4/27 井の頭公園前ヒフ科

第118回日本皮膚科学会総会に参加しました。

2019.06.10

先週の木曜~日曜までお休みをいただき、第118回日本皮膚科学会総会に参加するため名古屋に出張してきました。

会場では様々な講演を聞いたり、ポスター発表をみたりと有意義な時間を過ごすことができました。今まで知らなかったのですが、デジタルポスターというものがあって、パソコンを使ってゆっくり自分のペースで講演の内容を確認できるのですね。マイペースな自分にはぴったりのコーナーで、時間を忘れてみてしまいました。

空いた時間に名古屋城やトヨタ産業技術記念館に観光に行ったり、名古屋めしを食べ歩いたりしました。モーニング・あんかけスパゲティ・台湾ラーメン・手羽先・味噌煮込みうどん・味噌かつなど、大変おいしく頂きました。特に味噌かつは素晴らしかったですね。とんかつはソース・塩以外ないと思っていましたが、こんなにも味噌だれが合うとは思いもしませんでした。

長い休診になってしまい申し訳ありませんでした。学会での新しい知見をもとに、また今週から診療にはげみます。どうぞよろしくお願いいたします。

第116回日本皮膚科学会総会へ出席しました。

2017.06.07

先週末は井の頭公園前ヒフ科を休診させてもらい、6月2日から4日にかけて仙台で開催された日本皮膚科学会の総会へ出席してきました。

仙台は結構遠いイメージでしたが、新幹線「はやぶさ」が思いのほか速く、あっという間に到着しました。
学会では脱毛症、薬疹、フットケア、ダーモスコープ(皮膚を拡大して観察する道具)、水痘・帯状疱疹のワクチン事情、子供の感染症などについての講演を3日間かけてじっくりと聞くことができ、大変勉強になりました。とても綺麗な会場には荒川静香選手と羽生結弦選手のモニュメントがあり、観光客気分も味わえました。

また今週から診療に精を出してまいります。どうぞよろしくお願いします。

1%メトロニダゾール軟膏に関して

2015.04.22

井の頭公園前ヒフ科では、2015年4月よりメトロニダゾール軟膏の調剤を開始しました。

メトロニダゾール軟膏は様々な病気に使用することがありますが、当院では難治性の「酒さ(しゅさ)」という病気に対して主に処方いたします。

〈酒さとは〉
酒さとは中年以降の顔に出現する原因不明の慢性炎症性疾患で、症状としては顔の赤み、ほてり、プツプツなどがあります。湿疹(かぶれ)などと誤診され、ステロイド外用薬などを処方しても無効であり、悪化することもあります。非常に治りにくい病気ですが、抗生物質の内服や、下記メトロニダゾール軟膏の外用などにより改善することが期待できます。

〈メトロニダゾール軟膏とは〉
メトロニダゾールは抗菌剤の一種ですが、抗菌作用以外に抗炎症、免疫抑制作用、組織内活性酸素減少などの効果もあると言われており、国外では酒さやアトピー性皮膚炎、ニキビなど様々な皮膚疾患に用いられています。それ以外にも、皮膚癌や足の雑菌などにより生じた悪臭に使用されることもあります。

残念ながら、日本では保険適応外の治療となります。しかし上記のように有効性は確立されているため、国内でも様々な施設が難治性の酒さなどに対して使用しています。実際に、日本人の酒さ患者さんにメトロニダゾール軟膏を用い、有効であったとする論文は数多くあります。

保険適応外の薬のため、当院にて医師が調剤したものをお渡しします。当院では2015年に日本皮膚科学会誌で札幌医科大学が報告した方法と同じ内容で調剤しています。

〈使用法〉
1日1回、患部に外用します。

〈注意点〉
小児の方の手に届かないところに保管してください。
人によって、かぶれ症状(プツプツや刺激感、痒み等)が出現することがあります。その場合は使用を中止し、早めに再診ください。

〈料金〉
保険適応外の治療です。
自費にて10gあたり2200円(税込、診察料別)を頂きます。

スギ花粉症の舌下免疫療法(シダトレン)について

2014.10.16

本年、スギ花粉症の舌下免疫療法治療薬「シダトレン」が保険適応となりました。
これは、スギ花粉エキスを少量より舌の上に乗せ、徐々にスギ花粉に対する過敏性(アレルギー)を弱めていくという治療法です。今までのような、症状を抑えるだけの治療法と違い、場合によっては、花粉症の根治も期待できます。
本治療法はスギ花粉が飛散していない時期(6月~11月末ころ)に治療を開始し、数年は継続する必要があります。
また、全ての患者さんに効果が期待できるわけではありません。
治療によってスギ花粉に対するアレルギーが生じてしまう危険性もあり、治療開始にあたっては、医師とよく相談して決める必要があります。
そのため、治療前によく理解していただき納得した上で治療を受けていただく必要があります。

舌下免疫療法をご希望の方は、まず下記の案内をご覧いただき、当院を受診してください。

1.花粉症の中でも、スギのみに対する治療法です
※治療前にスギ花粉症の確定診断のための検査が必要です。当院で検査済または、他院での検査結果をお持ちの方は不要です。

2.2年以上内服する必要があります
最低2年以上、なるべく3年以上の服用が推奨されています。その間、毎日の服用が必要です。また、一度症状が落ち着いても、花粉症が再燃すれば、再度、服用が必要になる可能性があります。
治療中は月に1回程度の定期的な受診が必要です。
※平成26年10月~平成27年10月までは国の規定により長期処方ができないため、2週ごとの受診が必要です。

3.すべての方に効果があるわけではありません。
本治療によって症状が軽減するのは8割程度で、1~2割の方には効果が出ないといわれています。また、お薬を服用しなくても済むくらい改善するのは、1~2割程度といわれています。その他の方は、症状が軽減したり、内服薬を減量できたりすることが期待されます。また、治療終了後は長期間にわたり効果が続くといわれていますが、再燃することもあり、その際は再度の治療が必要になることもあります。

4.年齢、持病等により、服用できない場合があります。以下をご確認ください
〈投与ができない方〉
・12歳未満
・重症の喘息患者
・β遮断薬服用中 〈高血圧、狭心症その他の心疾患の薬〉
例)インデラル、セロケン、アテニロール、アーチストなど
・治療開始時に妊娠している
・全身的な重篤な疾患に罹患中
例)悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症、慢性感染症
・全身ステロイド薬(内服、注射)や抗がん剤を使用中
・重症の口腔アレルギー症候群
・急性感染症に罹患中(治療開始時に発熱を伴う感冒などに罹患している)
・転居予定があるなど、継続的な通院が困難である
〈その他の注意薬剤(治療対象外ではないが注意が必要)〉
・三環系抗うつ薬、MAO阻害剤服用中(ショック時の治療に抵抗する可能性があるため)

5.本治療によりアレルギー反応が起こる可能性があります。
このため、初回服用は当院内で行います。その後30分間、院内で安静にして頂き、副作用の発現がないかどうか、経過観察が必要です。2回目以降は自宅で行います。
考えられる副作用は、
≪局所的な副作用≫
・口腔内症状(口腔内のかゆみが一番頻度が多いです。その他は、口唇浮腫、口腔粘膜や舌の腫脹、潰瘍(キズ)、咽喉頭の刺激感など)
≪全身的な副作用≫
・アナフィラキシーショック・・・多くの場合、服用後30分以内で発症し、じんましんなどの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然の蒼白、意識の混濁などのショック症状が現れることをいいます(今のところ、死亡例はありませんが注意が必要です)
・喘息様症状・・重症な全身的な副作用として、入院例も報告されています
・腹痛、嘔吐などの消化器症状
・鼻炎、結膜炎、じんましん、全身のかゆみなど

6.治療方法、スケジュール
「シダトレン」という薬剤を1日1回、舌下に滴下し2分間保持してから飲み込みます。
その後、5分間はうがい、飲食を控える必要があります。

7.おわりに
本治療は、根本治療も期待でき、8割の方には有効ですが、無効な方もおり、薬を全く服用しなくても済むのは1~2割です。また、長期間にわたり根気強く服用が必要になりますことを、御理解ください。(実際に、途中で中断してしまう方も少なくないといわれています)

以上をよく読んだうえで、ご希望される方は御来院ください。
ご不明な点があれば、遠慮なく、来院時に当院スタッフ、医師におたずね下さい。なお、お電話での治療内容等のご質問は、お答えできませんので、ご了承ください。

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology