副腎皮質ステロイド薬(主に外用)について

2023.01.20

副腎皮質ステロイド薬について

 

1.副腎皮質ステロイドとは

副腎皮質ステロイドはもともと副腎という臓器で作られるホルモンで、体の恒常性を保つために大変重要な働きをしています。ステロイドには内服薬や注射薬、外用薬などの様々な剤型があり、関節リウマチやアトピー性皮膚炎など、様々な病気の治療に使われます。

 

2.副腎皮質ステロイドの効能について

ステロイド系の薬には様々な効能がありますが、最も重要なものは抗炎症作用です。例えばアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患では皮膚で過剰な炎症が起こっており、赤いただれや痒みの原因となります。ステロイドはこの過剰な炎症を抑えることで、症状を改善させます。

 

3.副腎皮質ステロイドの副作用について

ステロイドは前述のような高い抗炎症作用がある一方、様々な副作用が起こる可能性もあります。以下に代表的なステロイドの副作用を、皮膚症状と全身症状に分けて示します。

 

皮膚における副作用 皮膚以外に生じる副作用
易感染性(とびひ等)

ざ瘡(ニキビ)

酒さ様皮膚炎(顔のプツプツ・紅斑)

皮膚委縮

毛細血管拡張(皮膚の赤み)

易感染性(肺炎など)

ムーンフェイス(中心性肥満)

糖尿病

骨粗しょう症

消化管障害(胃潰瘍など)

ステロイド精神病

副腎抑制

 

これをみて「ステロイド=恐ろしいもの」と感じてしまう方も多いと思います。しかし、過度に副作用を恐れステロイドが使用できず、病気が悪化してしまうことも避けなければなりません特にステロイドの外用剤では表の右側に示したような全身的な副作用が出る可能性はほとんど無く、基本的に使用するメリットのほうが大きいため、是非「副作用を理解した上で正しく」使用してほしいと思っています

 

4.副腎皮質ステロイド外用薬の使用法・注意点

  • 皮疹が改善するまで、適切な量をしっかりぬる

副作用が心配などの理由で少量しか外用してないと、ステロイドの効果が出ず病気がなかなか治りません。そのため、かえって長期間ステロイドを使用することになってしまいます。当院のブログ「正しい薬のぬり方」などを参考に、しっかり適正量をぬりましょう。

また、皮疹が完全によくなるまで毎日外用を続けてください。「ちょっと良くなったから」といって途中で外用をやめてしまうと病気がぶり返してしまうことが多いです。

 

  • 局所的な副作用に注意する

ステロイドをぬっているところにニキビのような丘疹(プツプツ)や、とびひのような水疱・びらん(ただれやジュクジュクした発疹)、皮膚の萎縮や血管拡張が生じた場合、早めに再診し医師にご相談ください。

 

  • 全身的な副作用に過度な心配は不要

「ステロイドによる全身的な副作用」は外用剤ではほとんど出ません。

*例外的に「ストロンゲストクラス」のステロイド外用剤(例 デルモベート軟膏:クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏)を1日5g以上使用すると、体質によっては全身的な副作用がでてしまう可能性があります。めったにありませんが、重症の皮膚疾患などに対しこのような処方をせざるを得ない場合、医師も慎重に経過をみさせていただきます。

(2023年1月20日 井の頭公園前ヒフ科)

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology