蕁麻疹(じんましん)について

2023.04.21

蕁麻疹(じんましん)について                          

 

どんな病気?

紅斑や膨疹が一過性に生じ、かゆくなることを病的に繰り返す病気です。血管浮腫と言って、目や口の周り、喉などにむくみが生じる特殊な病型もあります。稀ですが、アナフィラキシーという重症型だと嘔吐・腹痛・呼吸苦・血圧低下や意識消失発作が起こることがあります。

原因は?

一般的に皮膚のマスト細胞という細胞が活性化し、ヒスタミンなどの物質が放出されることによって生じると言われています。アレルギーが原因として有名ですが、実際にアレルギーで起こる頻度は蕁麻疹全体の5~6%にすぎません。大多数(72%)は原因不明の特発性蕁麻疹で、他にこすれや圧迫、日光、寒冷等の刺激によっておこる物理性蕁麻疹が10%程度、汗をかくときに出るコリン性蕁麻疹が6%ほどあります。それ以外にも薬剤、感染症や自己免疫など、様々な因子の関与が指摘されており、複雑な機序の病気と考えられています。

検査した方がいいの?

日本皮膚科学会のガイドラインでは、「蕁麻疹というだけで、安易なスクリーニング検査を行うことは慎まねばならない」とされています。実際、問診で明らかなアレルゲンを推定できない状態で検査を行っても、原因の特定に至ることはほとんどありません。

当院はアレルギーを専門にしているからこそ、無意味な検査はしない方がいいと考えています。一方、もし問診や身体所見から何らかの因子の関与が考えられる場合には、採血や誘発試験などを行う場合があります。

治療は?

通常は抗ヒスタミン薬を内服することにより、症状は改善します。内服が途切れると再発することが多いため、医師に指示された期間はしっかりと内服を続けてください。数日間内服しても改善がない場合、薬を増量したり抗アレルギー薬を追加したりします。

気を付けるべきこと

発疹が出現しているときはなるべく安静にし、運動や入浴は控えましょう。生魚やカレーなどの刺激の強い食べ物、飲酒も控えてください。痛み止めや解熱剤などとして使用されるNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)は蕁麻疹を悪化させることがあるため注意が必要です。また非常に稀ですが、アナフィラキシーや気道閉塞などで命にかかわることがあります。呼吸苦や激しい動悸、気分不快などが生じた場合はあまり様子をみずに、すぐに大きな病院を受診するか、救急車を要請してください。

 

2023年4月21日 井の頭公園前ヒフ科 院長 石田正

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology