デュピルマブ(商品名:デュピクセント)について

2022.07.27

<デュピクセントについて>

デュピクセントは重症のアトピー性皮膚炎(および結節性痒疹、蕁麻疹)の治療薬で、アトピー性皮膚炎の炎症に関わるIL-4、I L-13という物質(サイトカイン)を直接抑制する注射薬です。

非常に効果が高い上に大きな副作用が少ないことが特徴的であり、アトピー性皮膚炎の方にとって福音のような薬剤と思われます。生後6か月以上の、標準的治療(保湿剤やステロイド外用剤など)を半年以上行っても改善が得られない、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の方に適応があります。

自己注射する薬剤ですが、皮膚に押しつけるだけで注射できるペン型のデバイスになっているため、慣れてない人でも簡便に投与できるように工夫されています。当院では初回は看護師と一緒に院内で投与し、2回目以降はご自宅にて自己注射してもらいます。どうしても自分で打つことが難しい場合は医師にご相談ください。

院内に製剤や注射、負担額などについての動画も準備しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお声かけください。製薬会社の作成したリーフレットも是非ご参考にしてください。 デュピクセントを使用される患者さんへ(ここをクリックすると該当ページに移動します)

 

<デュピクセントの価格について>

難点としては高額な薬剤費です。2024年11月から少し値下がりしましたが、それでも注射1本53659円(3割負担の場合16098円)もします。初回は2本、以降2週間おきに1本ずつ注射していく薬剤ですので、だいたい最初の1月で48293円、以降は毎月32195円ほどかかる計算になります(診察費などは別途かかります)。なお所得などによりますが、1回の診療でまとめて処方し高額医療費制度を用いることにより、自己負担額の引き下げができる場合があります。

(モデルケース:69歳以下、年収約370~約770万円)

デュピクセントは1回で最大3か月分(6本)の処方が可能で、その場合3割負担の方は自己負担96586円(診察費などは別途)となります。モデルケース(69歳以下、年収約370~約770万円)の場合、高額医療費制度を用いることにより自己負担が約80100円まで軽減されます。また、4回目以降(12か月以降)は多数回該当のため44,400円まで軽減されます。ここまでくると、単純計算でひと月14800円(44400÷3)の計算になります。

また、国の定める高額療養費制度以外にご加入の健康保険組合によっては「付加給付」として、自己負担上限額がさらに低く設定されている場合があります。詳しくはご加入の健康保険組合等にご確認ください。

製薬会社のホームページにて高額療養費のシミュレーションもできます。

デュピクセントの薬剤費と医療費助成制度について(ここをクリックするとサノフィさんのHPへ移動します)

 

<当院での導入までの流れ>

初回導入の方

初回の診察は月曜から金曜の9時~11時、ないし火曜・水曜・金曜の15時30分~17時30分の間にお越しください。受診当日は紹介状、お薬手帳や現在使用中の治療薬の分かるものを必ずお持ち下さい。

  • 初回診察では、問診と診察後、作用機序・効果・副作用等・自己注射の方法のご説明、採血検査を致します。
  • 2回目の来院時に採血データを確認し、注射可能かどうかの最終判断をします。実施手技をダミーの注射器を用いて指導致します。
  • 3回目の来院時、デュピクセントの処方を行います。1回目は院内で、看護師と一緒に注射します。2回目以降はご自宅にて注射してもらい、約1~3か月ごとに定期的に診察・検査・処方となります。

他院にて導入済みの方

受診時紹介元からの紹介状(診療情報提供書)を必ずお持ち下さい。紹介状には「施設要件」「前治療要件」「疾患活動性の数値(IGAスコア・全身又は頭頚部のEASIスコア・体表面積に占める病変割合)」の記載が必須となります。いずれかの項目でも記載漏れがあるとデュピクセントの投与・処方は出来かねますので、ご注意ください。事前に紹介状を当院までFAX(0422-79-4066)していただければ、記載漏れがないか当院にて確認いたします。自己注射の方は当日に処方箋の発行が可能です。事情があり自分で打てない場合は、事前に一度受診し医師とご相談ください。

 

2022/7/27 井の頭公園前ヒフ科 院長 石田正

(2024/10/31 薬価改定のため改変)

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology