小児へのデュピクセント適応拡大について
2024.01.182023年9月、アトピー性皮膚炎の注射薬であるデュピクセントがとうとう小児にも適応を拡大しました。これは、重症なアトピー性皮膚炎のお子さん・その親御さんには朗報と思います。
つきましては、井の頭公園前ヒフ科では以前より15歳以上の方にデュピクセントの投与を行っておりましたが、2024年1月より生後6か月から全年齢の方に適応を拡大させて頂きます。
本剤の作用機序としては、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン13(IL-13)という、アレルギー反応に重要な因子を阻害します。ステロイドや免疫抑制薬の内服と比べ、アレルギー反応をより選択的に抑制させるため、高い有効性の割に強い免疫抑制などの重篤な副作用があまりないことが特徴です。実際の効果としては、小児を対象とした臨床試験で主要評価項目であるEASI-75(アトピー性皮膚炎の重症度スコアであるEczema Area and Severity Index スコアがベースライン から 75%以上の改善)の達成率が投与開始16週時点で43%といわれています。
デメリットとしては高額であること、注射製剤なので痛みを伴うことなどがあげられます。
デュピクセントは小児に適応拡大されたからといって、誰にでも使用できる薬剤ではありません。
なるべく患者さん・ご家族のご希望に沿いたいと思っておりますが、実際に投与可能かどうかの最終判断は、症状や本人の意思、これまでの治療歴などを考慮し医師が決定いたします。必ずしもご希望通りに投与できない場合もある点につき、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
以下に投与可能な基準をあげます。
- 既存の治療で効果が不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者
ステロイド外用や免疫抑制剤外用でコントロールできている患者さんには投与できません。また、そもそもこれらの治療が行われていなかったり、医師の指示通りに治療が行われていなかったりした場合(外用量が足りていない等)には投与できません。
このため、当院では信頼できる医療機関からの継続投与(要紹介状)などの特別な場合を除き、患者さんが希望した日にいきなり投与を開始することはできません。当院へ一定期間通院し、医師の指導のもと十分な治療が行われ、それでも一定以上の重症度がある場合にのみ投与を検討させていただきます。
②多額の費用が負担できる方、あるいは小児医療の補助が受けられる方
治療費については下に正確に記載しますが、1ヶ月に数万円の治療費がかかります。小児医療の補助が受けられる方は、小児医療の適応となります。
③自宅で注射できる方
最初の2回は院内で注射しますが、それ以降は自宅で保護者が注射をすることになります。2週間毎に通院して注射することも可能ですが、当院では自宅での自己注射を指導しています。
*実際の投与スケジュール・投与量は下記のとおりです。
体重5kg以上15kg未満:4週間隔で200mg
体重15kg以上30kg未満:4週間隔で300mg
体重30kg以上60kg未満:2週間隔で200mg(初回400mg)
体重60kg以上ないし成人:2週間隔で300mg(初回600mg)
④外用治療も併用できる方
注射のみに頼らず外用も継続することが明記されています。
井の頭公園前ヒフ科