ブイタマークリーム(タピナロフ)について

2025.01.04

ブイタマークリームとは

ブイタマークリームは2024年10月29日に日本で発売されたアトピー性皮膚炎と尋常性乾癬に対する外用剤で、強い副作用があまりない一方、かなり高い効果が期待できる待望の新薬です。

ブイタマー(一般名:タピナロフ)は、「AhR調整薬」と呼ばれる種類の薬剤です(AhR:芳香族炭化水素受容体)。炎症性サイトカインを低下させ、抗酸化分子の発現を誘導して、皮膚の炎症を抑制するとともに、皮膚バリア機能を改善させます。

 

適応および用法・容量

ブイタマーは、12歳以上のアトピー性皮膚炎と、成人の尋常性乾癬の患者さんに適応があります。

1日1回、患部に適量を塗ります。

 

効果

アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬の患者さんに対して行われた国内第Ⅲ相長期投与試験のデータを下記に示します。どちらも塗り薬としては驚異的な効果の高さだと思います。

 

アトピー性皮膚炎:IGA反応率(アトピー性皮膚炎の発疹が消失ないしほぼ消失し、かつベースラインから2段階以上改善した患者さんの割合)が、投与開始12週の時点で21.7%、52週の時点で41.3%。

EASI-75達成率(EASIというアトピー性皮膚炎の重症度スコアが75%以上改善した患者さんの割合)は投与開始12週の時点で46.9%、52週の時点で76.6%。

 

尋常性乾癬:PGA反応率(尋常性乾癬の発疹が消失ないしほぼ消失し、かつベースラインから2段階以上改善した患者さんの割合)が、投与開始12週の時点で30.0%、52週の時点で56.3%。

PASI-75達成率(PASIという乾癬の重症度スコアが75%以上改善した患者さんの割合)は投与開始12週の時点で50.4%、52週の時点で79.9%。

 

安全性・副作用

ブイタマーは従来からあるステロイド外用薬や免疫抑制外用薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などとは異なる作用を持つ薬剤です。重篤な副作用は報告されておらず、その他の副作用も他剤に比べて多いわけではありません。また、長期使用における安全性が臨床試験で確認されています。

ブイタマーの使用にあたり、重篤な副作用は報告されていませんが、比較的報告数の多い副作用として、使用部位の毛包炎やざ瘡(ニキビ)、接触皮膚炎(かぶれ)、頭痛などがあります。なぜ頭痛がおこるかの詳細はまだわかってないようです。

 

薬価
ブイタマークリーム1本(15g):4512円

3割負担の場合は1本あたり1353.6円が自己負担額となります(別途、診察料などがかかります)。

なお、ブイタマークリームは新規医薬品ですので、発売後1年間は1回の受診に際し処方できる量が2週間分までとの制限があります。

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology