アトピー性皮膚炎治療薬イブグリース(有効成分:レブリキズマブ)について

2024.07.01

井の頭公園前ヒフ科では2024年7月より、アトピー性皮膚炎に対する新薬であるイブグリース(有効成分:レブリキズマブ)の取り扱いを開始致します。ご興味のある方は是非受診いただき、医師にお問い合わせくださいませ。

イブグリースについて>

イブグリースは重症のアトピー性皮膚炎の治療薬で、アトピー性皮膚炎の炎症に関わるIL-13という物質(サイトカイン)を直接抑制する注射薬です。似た薬剤として、デュピクセント(有効成分:デュピルマブ)がありますが、本薬剤は同等の効果を持ちながら、薬剤の投与間隔が4週に一度で良く、医療経済的にも優れている点が特徴と思います。

イブグリースの効果

国際共同第Ⅲ相試験にて、イブグリースは投与開始16週間後のEASI 75達成率が58.8%、投与開始52週間後のEASI 75達成率が約80%と高い効果を示しました(EASI 75達成率:アトピー性皮膚炎の皮疹の重症度スコアであるEASIの値が治療開始前と比較して75%改善した人の割合)。

〈イブグリースの副作用〉

臨床試験によって異なりますが、国際第Ⅱ相臨床試験、国際第Ⅲ臨床相試験と国内第Ⅲ相臨床試験の併合解析では、確認された頻度の高い有害事象はCOVID-19(11.5%)、上咽頭炎(10.2%)、アトピー性皮膚炎(6.9%)、結膜炎(7.4%)、アトピー性皮膚炎(6.9%)、頭痛(5.2%)などがあげられております。これはCOVID流行時に行われた臨床試験であることも関係していると思われております。その他、5%以下と頻度が低いものとして発熱、上気道感染、口腔ヘルぺス、ざ瘡、毛嚢炎などが確認されております。重篤な副作用が生じる可能性は高くないと考えられます。

〈イブグリースの投与法〉

専用のペン型のシリンジを用い、お腹や太ももに皮下注射します。初回と2回目は500mg(シリンジ2本)、3回目以降は250mg(シリンジ1本)を投与します。注射の投与間隔は2週間ですが、3回目以降は4週間間隔にすることも可能です。まとめると、1回目と2回目は2週間開けてシリンジを2本ずつ、3回目以降は2週間ないし4週間間隔でシリンジを1本ずつ投与していく形になります。

なおイブグリースは本来自己注射も可能な薬剤ですが、新薬のため、発売後1年間は長期処方と自宅での注射ができません。2~4週間に1回の受診が必要です。

〈イブグリースの価格〉

注射1本は50782円します。健康保険3割負担の方は自己負担15235円になります。初回と2回目は1回2本投与しますので1回30469円(3割負担の場合)です。3回目以降は2週おき、ないし4週おきに1回15235円(3割負担の場合)となります。別途診察費・検査代などがかかります。

*一部の企業にお勤めの方では、企業の健康保険組合による付加給付制度により、一定額以上は補助を受けることができる場合もあります。

〈イブグリースで治療を受けられる条件〉

  • ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの従来の治療で十分な効果が得られないアトピー性皮膚炎の患者さん
  • 成人、ないし12歳以上かつ体重40kg以上の小児

上記①、②をともに満たした方のみが治療を受けられます。

特に①に関しては条件を満たしてないと医師が判断した場合、まずは外用剤を中心とした標準的治療を受けていただく必要がありますのでご理解のほどお願いいたします。

*他院にて導入済みの方の継続処方に関して

受診時、紹介元からの紹介状(診療情報提供書)を必ずお持ち下さい。紹介状には「施設要件」「前治療要件」「疾患活動性の数値(IGAスコア・全身又は頭頚部のEASIスコア・体表面積に占める病変割合)」の記載が必須となります。いずれかの項目でも記載漏れがあるとイブグリースの投与は出来かねますので、ご注意ください。

 

2024/10/31改変(薬価改定のため)

井の頭公園前ヒフ科 院長 石田正

井の頭公園前ヒフ科

皮膚科/アレルギー科 dermatology/allergology